ダンスニュースメディアサイト

お腹から足を持ち上げるってどういうこと?「バレエのための解剖学-腸腰筋編-」

記事「お腹から足を持ち上げるってどういうこと?「バレエのための解剖学-腸腰筋編-」」の画像

高く美しく足を上げるって難しい!!

「バレリーナのように美しくしなやかに、高く脚を上げたい!」そう思って頑張って脚を上げようとしてみても、鏡に映る姿は自分が想像するほど上がっていない…。そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。他の部分をおろそかにしても頑張って脚を上げようとして、先生に「低くても良いから、美しく!」とアドバイスされてしまったり…。

今回は、そんな『美しく脚を上げること』、特に“ドゥバン(前方向)”に着目して、解剖学の視点から分析してみたいと思います。

お腹から足を持ち上げるってどういうこと?

よくバレエでは、「脚で上げるのではなく、お腹から持ち上げて」という表現を耳にすると思いますが、それが脚を高く美しく上げる1つ目のポイントです。“お腹から”を解剖学的にいうと“腸腰筋を使う”ということです。

腸腰筋がしっかり使えると、脚を上げても太ももはパンパンにならず、股関節も痛くなりません。腸腰筋というのは、胸椎の12番から伸びている筋肉で、骨盤・股関節の内を通り、大腿骨の内側に付いているインナーマッスルです。

昔は舗装されていない道を歩き、農作業などの肉体労働を行う事で、自然に誰でも腸腰筋が発達していたと言われています。しかし、現代では身体を動かす機会が減り、デスクワークで1日座りっぱなし… という人も少なくないですよね。“座る”という動作は、股関節を折り曲げ、腸腰筋は使われずに終始緩んでいる状態です。また、スマホやPCの画面を見る時間が増え、猫背で腰が丸くなり、ますます腸腰筋が使われなくなってきています。

ですが、諦めずに正しい知識とイメージを持ってバレエレッスンを行えば、少しずつでも着実に筋肉を強くすることができます。その方法をご紹介します!

腸腰筋を意識しながら動いてみよう!!

① タンジュ

脚の付け根(股関節)が筋張って固まらないようにしましょう。出す脚は付け根を遠くに引き離すように。
軸足は脚の裏から頭の先まで引っ張り合う意識を持ちます。胸だけが上がり、お腹が開いてしまわないように注意します。(a)

IMG_9822(a)

出す足に気を取られて骨盤が一緒に動かないように、軸足の上で骨盤を持ち上げるように立て、腸腰筋を引き延ばす意識を持っておくと、胸だけが上がりお腹が開くということも防げます。(b)

IMG_9826(b)

②ジュテ

ジュテでは、足が床から離れるときに、股関節屈筋群という筋肉を「ぐっ」と縮めてしまいがちです。股関節屈筋群を縮めると、腰が引けて骨盤が前傾してしまいます。(c)

IMG_9828(c)

骨盤の前傾を防ぐために、先ほどのタンジュでしっかり立てて安定させた骨盤をさらに安定させ、股関節屈筋群を固めずに腸腰筋を伸ばしながら使います。腸腰筋の意識は難しいですが、足を上げる時に内腿がおへそに近づくような感じで常に引き上げるように働いていれば正解です。(d)

IMG_9832(d)


③デヴェロッペ

さらに腿がおへそに近づくイメージです。(e)

IMG_9839(e)

骨盤はジュテと同じく前傾しないように注意しましょう。(f)

IMG_9836(f)

デヴェロッペの悩みとしてよく聞くのが、腿がおへそに近づくように意識すると、膝までは上がるけれど、膝を伸ばした途端に足全体が下がってしまう…ということ。次の点もぜひ意識してみて下さい。

足を上げるには裏側の筋肉も重要!!

ここでもう1点必要になってくるのが、“ハムストリング(腿の裏側の筋肉)と臀筋(お尻周りの筋肉)の柔軟性”です。ハムストリングと臀筋が固くなる原因も、座った姿勢でいることが多いことと関係しています。

座るという行為は、膝が曲がり、上半身がお尻の上に乗っかっている状態。ハムストリングと臀筋は縮んだままで固定され、同じ姿勢で「数時間×毎日」過ごすことで縮んだ状態のまま「これ以上伸びる必要がない」と身体が記憶してしまうのです。

ハムストリングと臀筋の柔軟性を高めるためにも、固まった筋肉を目覚めさせ、筋肉をストレッチしていくこと!バレエのレッスンだけではなく、日常的にストレッチを行う時間を少しでも取り入れることが非常に効果的です。

次回は、自宅でできる簡単なストレッチ、そして腸腰筋を鍛えるエクササイズをご紹介します。ぜひレッスン前やご自宅で行ってみて下さい!

バレエのための解剖学–腸腰筋編–
ピンポイントストレッチ講座はこちら!


文/川本直枝(ピラティスインストラクター)

 


川本直枝プロフィール

6歳から岩手県盛岡市の黒沢智子バレエスタジオにてバレエを始める。全国のコンクールに出場、入賞。
24歳の時にギランバレー症候群という神経が麻痺する病気に罹り入院する。完治後、リハビリの一環としてピラティスを始め、26歳でBASIピラティススタジオに入社。現在Angel Rでプライベートセッション、グループレッスンを担当し、解剖学コラムも執筆している。

川本直枝先生のピラティスセッションはこちら
https://www.angel-r.jp/private/machine-pilates/


今までの記事を読む↓
・ 股関節から正しく脚を開き、表現の幅を広げる!「バレエのための解剖学-ターンアウト-」
・キレイにつま先を伸ばすには、やみくもに力を入れてはダメ?!「バレエのための解剖学-つま先編-」
・バレリーナの美しいX脚も、間違った使い方をすると痛みの原因に?!「バレエのための解剖学-X脚編-」
・引き上げて固めるのではなく、様々な方向に動かす「バレエのための解剖学-背骨(脊柱)編」
・筋肉を固めずに肩甲骨から腕を動かす「バレエのための解剖学-肩甲骨編-」

category :
tag : タグ:
date : 2020.03.28
share :
TOP