劇団四季より新作ミュージカル『パリのアメリカ人』〜小粋に、華やかに、スタイリッシュなダンスが描く、パリの恋〜
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劇団四季にて、2019年1月より新作ミュージカル『パリのアメリカ人』を上演することが決定!この舞台は劇団四季による日本初演。1952年にアカデミー賞を受賞した同名映画に想を得た作品で、バレエを始め、
小粋に、華やかに――
スタイリッシュなダンスが描く、パリの恋。
2019年、劇団四季がお届けする最新作は、心も躍る上質なミュージカル。2015年にトニー賞4部門に輝いた『パリのアメリカ人』。1952年にアカデミー賞を受賞し、“アメリカ音楽の魂”と称されるガーシュウィン兄弟の代表曲が散りばめられた同名映画に想を得たこのミュージカル。 映画の内容をさらにふくらませた物語と、イマジネーションをかきたてる新しいダンスによって初めて舞台化され 、2014年にパリで公演がスタート。翌年にはニューヨーク・ブロードウェイに進出。トニー賞で振付賞、編曲賞、装置デザイン賞、照明デザイン賞を獲得しました。
新進気鋭の演出家 クリストファー・ウィールドン
ミュージカル『パリのアメリカ人』の演出・振付を担ったのは、当時、振付家として既に世界的に有名だったクリストファー・ウィールドン。彼は、本作で初めてミュージカルの演出を担当し、2015年トニー賞では演出賞ノミネートに加え、振付賞を受賞しました。この作品によって彼は「ジェローム・ロビンスやボブ・フォッシーなどの偉大な演出家かつ振付家に肩を並べた」(ウォールストリートジャーナル)と高い評価を受けています。
クリストファー・ウィールドンは1973年イギリス生まれ。自身もバレエダンサーであった彼は、1993年にニューヨーク・シティ・バレエ団に入団。2001年からは初代レジデント・コレオグラファー(駐在振付家)として、様々なバレエ作品の振付を担いました。近年では2011年に開幕した、ロイヤル・バレエ団のための新作『Alice’s Adventure in Wonderland』で高い評価を受けています。バレエ以外にも、映画「Center Stage」、ブロードウェイミュージカル『Sweet Smell of Success』(2002)、オペラ『Carmen』(2009)など幅広い分野で振付を担当。2013年にはロイヤル・バレエ団のために振付けた『Aeternum』で2つのオリヴィエ賞、『Cinderella』でブノワ賞を受賞しています。
本作の舞台化に際し、ウィールドンは「映画よりもっと史実に根差したものにしたいという方針をたて、その当時の戦後の暗い雰囲気と、ロマンスと軽やかさが隣り合わせにあるように見せたかった」「ダンスが単に楽曲に付随するものではなく、言語としての役割を担い、更に、場所が移り変わっていくセット転換や映像も、流れるようなイメージを意識し、転換もダンスのひとつだとコンセプトを立てた」と語ります。
実際に、ダンスはストーリーを伝える手段として用いられ、オープニングシーンでは、女性たちが戦地からの夫の帰りを待つ姿や、戦争中にナチスに協力した者たちが粛清される様子をダンスのみで表現。いまだパリの街が混乱のさなかにあることがはっきりと伝わります。また、クライマックスの14分間にわたるバレエシーンでは、一切言葉を発することなく、情熱的で大胆な振付を通して恋人たちのロマンスが描かれ、圧倒的な幸福感をもたらしています。
開幕以来、作品の芸術性の高さとウィールドンの才能には、多くの称賛が贈られています。バレエ界で名を馳せた天才振付家は、今後ミュージカルの世界でもその才能を十分に発揮していくことでしょう。
Original London Company、Photo by Johan Persson
鬼才ボブ・クローリーによる洗練された美術デザイン
『パリのアメリカ人』において、装置・衣裳デザインを担当したボブ・クローリーは、今や世界的な評価を得る舞台美術界のトップデザイナーといえるでしょう。
英国ロイヤル・ナショナル・シアターのアソシエイトデザイナーを務める一方で、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー、ロイヤル・バレエ、ロイヤル・オペラ・ハウスなどにおいて携わるプロダクションは50以上。ブロードウェイやウェストエンドでも多くの作品を手掛け、『回転木馬』(1994年)、『アイーダ』(2000年)、『ヒストリー・ボーイズ』(2006年)、『コースト・オブ・ユートピア』(2007年)、『メリー・ポピンズ』(2007年)、『ワンス』(2012年)、これら6作品に加えて、『パリのアメリカ人』でも、トニー賞最優秀装置デザイン賞を受賞しました。
なお劇団四季ではこれまでに、彼の作品として、2003年から前述の『アイーダ』を、2013年からは『リトルマーメイド』(ヨーロッパ版をベースにしたもの)、2015年からは『アラジン』を上演しています。
クローリーはこの『パリのアメリカ人』において、非常におしゃれで洗練されたパリの街を描き出しています。シンプルな構造と、最新の映像技術を組み合わせ、それらがスタイリッシュなダンスと重なり合うことで、上品な美しさを醸し出します。
作品のハイライトとも言うべき、交響曲「An American in Paris」を使用したバレエシーンでは、画家であるジェリーが描いた絵画がそのまま舞台上に現れたかのようなモダンで美しい背景が広がり、モンドリアンを思わせるカラフルな衣裳が目を引きます。
イマジネーション豊かな装置や鮮やかな衣裳の数々は、「エレガンス、ウィット、洗練さの融合という点において、昨今のブロードウェイのどれよりも傑出している」(ニューヨークタイムズ)、「独創的な小道具を用いており、大胆で気が利いている」(AP通信)、「息をのむほど新鮮に見えながらもモンドリアンを思い起こす色彩と形状の炸裂を呈する」(USAトゥデイ)と高い評価を受け、2015年トニー賞では装置デザイン賞を受賞しています。
独創的なビジョンで、作品に新しい生命を吹き込んだ鬼才ボブ・クローリー。彼が創りだす洗練されたパリの街は、観客を心地よい興奮に誘うことでしょう。
ミュージカル映画の傑作と“アメリカ音楽の魂”ガーシュウィン兄弟
1951年に公開された映画「巴里のアメリカ人」を語るうえで外せないのが、“アメリカ音楽の魂”と称されるガーシュウィン兄弟です。1920年代のアメリカ文化を指す“ジャズ・エイジ”の代名詞でもある作曲家の弟ジョージ・ガーシュウィンと作詞家の兄アイラ・ガーシュウィン。彼らは1924年からジョージが亡くなる1937年までの間、ミュージカルや映画のために25曲以上ものヒットソングを世に送り出しました。中でも最大の功績は、政治を風刺したミュージカル(『Strike Up The Band』、ピューリッツァー賞受賞作『Of Thee I Sing』、続編『Let `Em Eat Cake』)に見られるように、大衆ミュージカル演劇を洗練されたレベルにまで昇華させたこと。フォーク・オペラ『Porgy and Bess』は、ミュージカル様式の先駆的作品として、世界中の劇場で今なお絶えず再演されています。他にも弟ジョージはピアノ協奏曲「Rhapsody in Blue」「Concerto in F」などを生み出し、作曲家としてだけでなく、ピアノ奏者、指揮者としても大きな成功を収めました。
そのうちのひとつ、ジョージ・ガーシュウィン作の交響曲「An American in Paris」は、約17分に及ぶ管弦楽曲。ヨーロッパ旅行の際に、ガーシュウィン自身が抱いたパリの印象を描いた交響曲と言われています。1928年12月にカーネギー・ホールで、ニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団の演奏により初演されました。それまではジャズ歌謡曲作家であったジョージ・ガーシュウィンが、ジャズの交響曲化を成し遂げた代表作として特に有名です。それ以外にも、多くのガーシュウィン兄弟による楽曲が使用されています。
そしてこの映画を成功に導いたもう一人の功労者が、MGMミュージカルを代表するプロデューサー、アーサー・フリード。映画公開当時、多くの作品は既成舞台や小説を映画化したものだった中、彼はストーリーも楽譜もないうちから、ガーシュウィンの楽曲を基にしてパリに住むアメリカ人の物語をつくろうと決め、製作を開始。監督のヴィンセント・ミネリと共に、ガーシュウィンの楽譜を手に入れることからスタートしました。
主役には、戦後最大のミュージカルスターと言われるジーン・ケリー。彼は振付も担当しています。ヒロインのリズ役にはレスリー・キャロン。ジーン・ケリー自ら、パリで舞台に立っていた彼女を発掘し、本作のヒロインとしてハリウッドに送ったという逸材です。
楽曲から脚本を書き起こした新鮮さや色彩の素晴らしさが評価され、翌年のアカデミー賞では作品賞や脚本賞、美術賞など6部門を受賞。さらにジーン・ケリーは、本作における振付によってアカデミー特別賞を受賞しました。特に物語終盤にある圧巻のダンスシーンは非常に高く評価されており、現在もMGMミュージカル映画の名場面として語り継がれています。
今もなお多くの人々に愛されるガーシュウィン・メロディ、そしてそのメロディをふんだんに使用し、ミュージカル映画の傑作として語り継がれる映画「巴里のアメリカ人」。この偉大な芸術作品の魂を、ミュージカル『パリのアメリカ人』は受け継いでいます。
Robert Fairchild and Leanne Cope、Photo by Johan Persson
日本語台本と日本語訳詞を担当 高橋知伽江さん
『パリのアメリカ人』劇団四季版の日本語台本と訳詞を手掛けるのは、高橋知伽江さん。
2015年日本初演を迎えたディズニーミュージカル『アラジン』で日本語訳詞を担当。その成果により、第23回読売演劇大賞で優秀スタッフ賞を受賞されました。また『アラジン』に続き、2016年に開幕した『ノートルダムの鐘』では訳詞に加え、日本語台本も手掛けられました。
高橋知伽江(たかはしちかえ)
東京外国語大学外国語学部ロシア語学科を卒業。劇団四季での勤務を経て、フリーランスで演劇台本の執筆、翻訳、訳詞を手掛ける。2011年、英国作家ノエル・カワード作「秘密はうたう A Song at Twilight」「出番を待ちながら」の翻訳により、第4回小田島雄志・翻訳戯曲賞受賞。2013年4月から2017年3月まで、水戸芸術館演劇部門芸術監督。日本劇作家協会員。
四季在籍時には、本名の「高橋由美子」名義で、『クレイジー・フォー・ユー』(和田誠氏と共同訳詞、日本語台詞)、『アスペクツ オブ ラブ』(訳詞協力)や、ファミリーミュージカルの台本などを多数手掛けられます。その後はフリーランスの立場で、数多くの舞台の台本を翻訳、執筆していらっしゃいます。
またディズニー映像作品を手掛けることも多く、「魔法にかけられて」(2008年)、「塔の上のラプンツェル」(2011年)、「アナと雪の女王」(2014年)、実写版「美女と野獣」(2017年)等で日本語訳詞を担当。特に「アナと雪の女王」主題歌「Let It Go~ありのままで~」は大きな話題となりました。
言語の構造上、“英語”から“日本語”への訳詞では、原詞の意味の三分の一程度の情報量しか含めることができないといわれます。したがって日本語訳詞作成の最大のポイントは、「原詞のエッセンスを正確に掴み取り、その詞のイメージを大胆に“日本語”として再構築する」こと。現代の日本において、高橋さんはその第一人者であるといえるでしょう。
『パリのアメリカ人』は、高橋さんの四季在籍時代の代表作『クレイジー・フォー・ユー』と同様、全楽曲がガーシュウィン兄弟によるものです。“ボーイ・ミーツ・ガール”のラブコメディである『クレイジー・フォー・ユー』とはまた違った楽曲のアレンジ、そして訳詞が楽しめることでしょう。
ストーリー
第二次世界大戦直後のパリ。アメリカの退役軍人ジェリー・マリガンは、暗い戦争の時代に別れを告げ、新たな人生を夢見ている。ここパリの街に残り、画家として生計を立てようとしているのだ。ジェリーはまだ戦後の混乱が収まりきらない街中で、一人の女性を見かける。彼女の名前はリズ・ダッサン。彼女に一目ぼれしたジェリーは後を追うが、見失ってしまう。
住むところを探すジェリーはとあるカフェで、ピアニストであるアダム・ホックバーグに出会う。アダムは作曲家を目指して、ジェリーと同じくパリに残った元アメリカ軍人だった。アダムの友人でフランス人資産家の息子であるアンリ・ボーレルは歌って踊るショーマンを目指しているが、厳格な両親には夢を伝えることができない。彼らは互いに励まし、夢を応援しあう。
アダムは伴奏アルバイトをしているバレエスタジオへ、スケッチがしたいというジェリーを連れて行く。そこで出会ったのは、大富豪の後継者でアメリカ人女性のマイロ・ダヴェンポート。彼女はジェリーの絵の才能、そして彼自身を一目で気に入ってしまう。
この日はバレエスタジオのオーディション。オーディションが始まった後に駆け込んできたのは、ジェリーが以前一目ぼれしたリズだった。彼女のダンスはその場の全員を魅了。マイロは彼女を新作バレエの主役にすべく、舞台美術にジェリーを、作曲にアダムを起用した作品を作ってくれるのであれば、自分が寄付をするとバレエ団の監督を説得する。
その時アダムもまた、彼女に恋をしてしまう。ジェリーとアダムは知る由もなかったが、リズはすでに彼らの友人アンリと婚約を交わしていた。図らずも3人の男たち全員が、一人の女性を同時に愛してしまったのだ。
リズのことが忘れられないジェリーは、彼女を追いかけて思いを伝える。拒むリズに対し、自分と会っている間は「ライザ」という名の、何にも縛られない自由な女の子として過ごせばいいと話すジェリー。リズも徐々にジェリーに惹かれていく。
しかし彼女にはある秘密が。戦時中、アンリの家族に匿ってもらっていた過去があった。その恩義を強く感じていたリズは、アンリが自分のことを好いているのを感じ、アンリと結婚するべきだと考えていた。「求められていることをすべきなのか、心の声に従うべきなのか。」―リズはアンリと愛するジェリーの間で揺れ動く。
ある日、ボーレル家でバレエ・パーティーが開かれ、ボーレル夫人はその場で、息子アンリとリズの婚約を発表する。打ちひしがれるジェリー。リズに理由を話すよう迫るが、自分は自由に生きることが許されないと頑なに拒むだけだった。一方その様子を見ていたアンリ、マイロ、アダムは、ジェリーとリズがお互いに愛し合っていることを悟る。
いよいよ、リズを主役としたバレエ公演が上演される。ジェリーが描いたパリの街並みを舞台に踊るリズ。リズとジェリーの愛の行方、そして人生の選択とは…。
ミュージカル『パリのアメリカ人』公演概要
◇公演期間
2019年1月20日(日)開幕
【東急シアターオーブ】 1月20日(日)~3月8日(金)
【KAAT神奈川芸術劇場<ホール>】 3月19日(火)~8月11日(日・祝)
◇会場・料金
東急シアターオーブ(東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ11階)
□JR線・京王井の頭線・東京メトロ銀座線「渋谷駅」 2階連絡通路直結
□東急東横線・田園都市線・東京メトロ半蔵門線・副都心線「渋谷駅」 15番出口直結
S席11,880円/サイドS席11,880円/A席8,640円/B席6,480円
サイドB席6,480円/C席3,240円
(「四季の会」会員S席10,800円/サイドS席10,800円)
KAAT神奈川芸術劇場<ホール> (神奈川県横浜市中区山下町281)
□みなとみらい線「日本大通り駅」 3番出口より 徒歩5分
□みなとみらい線「元町・中華街駅」 1番出口より 徒歩8分
□横浜市営地下鉄ブルーライン「関内駅」 1番出口より 徒歩14分
□JR根岸線「関内駅」南口または「石川町駅」北口より 徒歩14分
S席11,880円/A席8,640円/サイドA席8,640円/B席6,480円/サイドB席6,480円
C席3,240円/サイドC席3,240円/サイドイス付立見席3,240円
(「四季の会」会員S席10,800円)
◇発売
初回発売分 計115回公演分
【東急シアターオーブ】1月20日(日)~3月8日(金)
【KAAT神奈川芸術劇場<ホール>】3月19日(火)~5月31日(金)
10月27日(土)一般発売開始 ※「四季の会」会員先行予約10月20日(土)
◇予約方法
ネット予約 SHIKI ON-LINE TICKET http://489444.com(24時間受付。ただし、発売初日は午前10時より)
電話予約 劇団四季予約センター 0120-489444(午前10時~午後6時)
◇お問い合わせ
劇団四季 東京オフィス 03-5776-6730