ダンススタジオの発表会は「先生も勝負する場所」
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ダンサーにとって、ダンススタジオの発表会がどんなものなのか。
今回は都内のダンススタジオ、『DANCE WORKS』とタッグを組み、発表会 の”総合演出” を務めたこともあり、自身も参加経験もあり作品を出す経験も何度もしているsuzuyakaと、今年初めてのディレクションとして発表会をまとめることになった松田尚子に「発表会とは?」という質問をしてみた!
とにかく悩むし、恐怖、大変。でもそれ以上にやってよかった!
Q:まず始めに、suzuyakaさん、演出を経験した感想を聞かせてください。
松田尚子(以下N) :本当にそれ聞きたい、今!!
suzuyaka(以下S) :もともと凄く気にする性格なので、初日の幕が開く直前まで恐怖すぎて、「はあっ!!◎△$♪×¥○&%#!」と1人でなっていました(笑)
N: それは、見てる人がどう思うんだろう? ってこと?
S: はい。『DANCE WORKS』の発表会は、毎年関わってくださっている皆さんのおかげで良い空気を作っていると思うんです。先生と生徒さんとの絆も絶対にあるし、みんなが楽しんでいると思うので、作品に関しては失敗はせずにできるって思っていました。
今いろんな発表会があるから、何が良いとか悪いとかは人それぞれだし、自分で『DANCE WORKS』ならこうやりたいと思ってやったものの、「どういう感想が来るのか」とか「本当にこれが合っているのか」が分からなくなってきて。自分の創ったものが、誰かの評判やスタジオの評判まで下げることにも繋がるって考えたら、「やばい! あ! ちょっと! ちょ、ちょっと! 待って! ま! ああ! ちょっと〜!! ストップ!!!!」みたいな気持ちになって(笑)。本当、幕開ける瞬間が一番怖かったです。
N: そうだよね、自分の名前が出てるんだもんね。
S: はい、そうですよね。恐怖でしたその瞬間が。その感情が今でもすごい残っています。
こういう性格なので終わった瞬間はスッキリすると思ってたんですけど、今度は観てた人の気持ちをダイレクトに受け取ることを想像すると、それがまた怖くなってしまって…。 発表会当日付近は、準備などで忙しくしていたのであまり意識してなかったんですが、本番終わって面会に行く時も、みんなの反応を凄く気にしてしまって泣けなかったですね。終わった気持ちになれなかったです。「大丈夫だったかな?」と不安になりました。
そんなプレッシャーを感じてたのですね。
S: 今年、尚さんの演出が決まったと聞いた瞬間に、初めてやっと「終わったんだ!」となりました。
N: えーー!!? そんな… 1年間も考えていたくない(笑)。でも凄いね、それだけ考えていたってことだもんね。
S: でもこれは私の性格の問題なので!(笑) 今やっとホッとしたみたいな…(笑)。 私、本当にビビリなんです。
でも、やって良かったですか?
S: それはもう!! 本当にかけがえのない経験をさせて頂きました。
例えば、これが他のスタジオだったとしても絶対にすごい経験だと思うし、自分の糧になるんですけど、やっぱり“『DANCE WORKS』の総合演出”をやらせてもらったということが自分の中ではとてつもなく大きかったですね。
本当に憧れ続けてきた場所だし、どんなに頑張っても先輩たちが凄すぎて、「こんな風になれない」と常日頃思っていて…。でも、その先輩達を今度は自分がまとめなきゃいけないという部分でのプレッシャーはありましたが、より一層凄い経験になったなと思っています。Ami以外は全員先輩でしたので(笑)。
N: 何が一番大変だった?
S: それはやっぱみんな先輩だというのが大変でした!(笑)
N: そうだよね~。気を使うよね〜。
S: そうですね〜とか言って(笑)。
皆の前で喋るのも、人に伝えなきゃいけないというのも大変だけど、そういったことは嫌いではないんです。裏方も嫌いじゃないんで、そういう時間はワクワクするんですけど、対人(たいひと)になったときに、どうやったら伝わるんだろうとか、どうしたら「いいね、それやろうよ!」っとなってもらえるのかとか…。
「人に何かを伝える」ということをもっとしっかりやらなきゃいけなかったなと思ったのが今の反省です。先輩だけど、むしろ先輩だからこそもっと熱くぶつかった方が良かったなと思いました。人×人…「人に伝える」ということがやっぱり難しいですね。
N: 難しいよね~。
シンプルに。”作品”が一番輝く舞台を。
Q:松田尚子さん、今回ディレクションを引き受けて下さった上で今一番意識していることは?
N: 今考えていることは「どうやったら見ている人が、一番シンプルに作品を楽しめる環境になるか」ということ。発表会全体を通して、どのくらい演出してどのくらい演出しないか。基本的にはすごくシンプルにしようと思っています。suzuちゃんの演出もシンプルで凄く好きだったんだよね。
S: 泣いていいですか!!! 泣きます!!
N: ははは(笑)。演出に正解なんてないし、人によって全然違うのがおもしろいところ。全体通してストーリーがあるのも一体感があって楽しいし。
suzuちゃんのは設定とかを作らないシンプルなものだっただけに凄くリアルで、合間にあった黒須先生やSHIGEさんや何人かの振付師のインタビューも、いい話しが聞けて凄く好きだった。「なるほど! 作る時にこんなことを考えてるんだな」って凄く勉強になったし、素敵な作品を作る先生方がどんなことを大切にして振付するかとか、そういう話しを聞きたい人は多いと思うし。
今年もシンプルでリアルに☆いきたいなと思ってます。
S: 去年の私に教えてあげたい。(去年の私に向けて)頑張れ〜頑張れ〜〜!! って(笑)
20作品あれば20通りの作り方がある
Q:演出部分ではなく作品作りについて聞かせていただきたいのですが、発表会の作品を作る時にいつも意識していることは何ですか?
N: 私、決めつけてやると失敗するタイプだから、やったことないけどやってみようかなとか、出てくれる人を見て「このメンバーだったらこういう感じかな?」とか考えています。
絶対にこれをやるとか自分っぽいのはこういうやつだからこうしようとか、安パイに走ると絶対に上手くいかないんです。ちょっとだけ冒険があって、今年だからこうかなみたいな、凄く危うい所をあえていくと結果良かったなという作品になることが多いので、安パイでやっちゃいけないんだなといつも思って作っています。
S: 『DANCE WORKS』の発表会は、その年に一番自分が勉強していることを毎年やっている気がします。それが結果、今一番教えたいこと、生徒達への課題と良いところの3つが上手くマッチングするんですよね。
セクシーな曲でやった時もそういう生徒が多かったし、ラテンをミックスしたかった時はそれをこなしてくれる生徒が多かったし、去年はとにかくいつものHAPPYな感じだけどめっちゃ回らせたい! とか…。 そういうのにもちゃんと対応してくれていました。なので、その時の生徒と上手くハマってたんですよね。それが多分いつも自分でもわかっていて。
これやりたい! って曲が先に浮かぶんですけど、曲を決めて生徒達を見ると「ハマってる!!」みたいになるんですよね! 直感が多いかも!? 去年も、発表会が終わった後に直感が降ってきて「この曲がやりたい! これだ!」となりました。それが早く来る時とギリギリまで来なくてどうしようとなる時がありますけどね。
結果まとめると!(笑) 「一番伝えたいこと」「生徒たちの今の良さ」「課題」の3つがうまくマッチしたやつをやる!! 笑
N・S そうですね。
発表会は、先生も勝負する場所
Q:2人にとって発表会とは? スタジオとしてどういうものであって欲しいと思いますか?
N: 私がダンスを始めた頃の発表会は入場無料で、逆に見に来て下さった方にお菓子折りを渡してお礼をするような、文字通り発表する会でした。 今はちゃんとお金もとるし、そういう意味では発表会だけどお金を払って見に来てくれる人がいるっていう、「それはプロなのか?」 と考えると難しいのですが、お金を払って自分がちゃんとプロとして舞台に立つ場所を得るみたいなものかなと思っています。
『DANCE WORKS』の発表会ということで言うと、「先生も勝負する場所」かな。いい緊張感があります。ある意味、生徒さんの為にではなくて、自分(先生)がやりたいものをやる。それが結果、生徒さんの為にも絶対なるし、そこに引き上げていく作品達の応酬で、先生達も凄く緊張感のある“発表会というよりはオムニバスのショー”であって欲しいなと思います。
S: 発表会がいっぱいある今だからこそ、“このスタジオだからこういう発表会をやってます!”とスタジオごとにあってほしいと思う。今は、先生がナンバーを出して生徒達が踊って終わるというイベントも沢山あって、凄くナンバーの時代だなと思います。
どこでもナンバーが見れちゃうからこそ、スタジオでやる発表会は生徒もお金を払うし、お客さんも安いお金で見るわけではないので、生徒と先生達、スタッフが一つになって“絶対いいものを作るぞ!”という想いが発表会自体にあって、それぞれの意志を持ったこだわりのものができていればいいのかな。
誰でも出せて終わっていくんじゃなくて、そのスタジオの想いを見たいと思います。
Q:ダンスワークスの発表会のイメージは?
S:本気!!!!!!
悩んだら行動!舞台に立つ事で成長する
Q:これから参加を考えている生徒さんや普段レッスンを受けている生徒さんに向けてのメッセージを頂けますか?
N: レッスンを受けるということはもちろん大事なんだけど、自分が舞台に立つという近い具体的な目的があると、普段のレッスンの受け方も変わってくると思うし、結果成長するから挑戦してみて欲しいなと思います。
S: 参加者募集の時期から発表会まで約6 ヶ月。それって結構な期間だと思うんですよね。2ヶ月後の本番のイベントを募集しているわけではないから、迷うってことは絶対にやらないほうが後悔すると思っています。
だっていつ死ぬか分からないじゃないですか(笑)。いつ踊れなくなるかも分からないし、あの時やっておけばよかった!って後悔するのは絶対にもったいないから、1年ってあっという間だと思うけど、なんだかんだ長いと思うので、1年待つよりも6 ヶ月先に向けてめっちゃ頑張れば絶対についていけないことなんてないので、悩んだらトライしてみたほうがいいと思います。不安だったら「募集スタートした! 申し込む! はい頑張る!!」ってすぐに行動すれば、絶対に何かまた新しい自分に出会えるかなと思います。“悩んだらやる! 行動する!”
suzuyakaから松田尚子へ、バトン…リバース?!
Q:suzuyakaさんから尚さんにバトンタッチのメッセージをもらえたらと思います。
N: 宜しくお願いします!
S: ネタバラシをすると、実は去年私が演出をやったのは、尚さんが「suzuyakaやればいいんじゃない?」と背中を押してくれたことから始まっていたんです!!
よく覚えていますね〜!!
S: 覚えてるに決まってるじゃないですか! その時めっちゃ嬉しかったですもん!! 本当は去年、尚さんから私にバトンをもらってました(笑)。なので、バトン返し! バトンリバース!!!
(一同大爆笑!!!)
S: 『DANCE WORKS』の生徒さん達も「松田尚子、満を持して演出!!!」と待ちわびていたと思うので、どうぞ宜しくお願いします!!
N: 去年…そうでしたね(笑)。
S: テヘテヘ☆
Q:では、suzuyakaさんからのバトンを受けて、最後に尚さん、今年の発表会の意気込みをお願いします!
N: 『DANCE WORKS』には本当に素晴らしい先生方が沢山いらっしゃって、発表会の作品一つひとつのクオリティーが高く、先生方も相当真剣に作ってらっしゃるので、何よりもまずは作品達が一番よく見える方法を探しています。更に、どこかしらに自分のスパイスも入れられたらいいなと思っています。
観に来た方が「ダンスっていいな〜」と思える、オーガニックな、アナログな、「ダンスくさい」発表会にしたいと思います!
お二人とも貴重なお話をありがとうございました!!