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ダンス舞台の最高傑作『蜘蛛の糸』! ダンサーたちによる圧倒的なダンス、芝居。誰もが魂を揺さぶられたその感動が今蘇る!

運命的な出来事から生まれた奇跡の作品『蜘蛛の糸』

観客の誰もが、舞台が始まった瞬間「これは何の舞台?」と思わされると同時にあっという間にその世界に引き込まれた。あえて言うなら、これはダンス作品。だが、内容もその成り立ちも、そこらの舞台とはちょっと違う。すべてが“特別”なのである。

渋谷にあるDANCE WORKSは業界初の経験者専門ダンススタジオ。「本物のダンス」にこだわり、ダンサーの育成や舞台作りに取り組んできたスタジオだ。その中で新たなプロジェクトとして始まったのが、今回の舞台を企画・主催している「LIFE WORKS」である。

そのLIFE WORKSの誕生に至るエピソードがなんとも運命的なのだ。誕生のきっかけとなった人物こそ「蜘蛛の糸」の脚本・演出・振付を務めた大村俊介。彼は人気の高いダンス講師であり、宝塚を始め多くの舞台も手懸ける売れっ子と言えるダンサー・振付家だ。そんな彼がふと呟いた「舞台をやりたい」という一言をたまたまDANCE WORKS取締役代表社員の鎌倉有希が聞いたというのだ。ダンサーが主役の舞台を創り、ダンサー、振付家、演出家を全力でサポートしたいという想いをずっと抱いていた鎌倉。大村が呟いた一言を現実にしないわけにはいかなかった。
大村俊介の抱く「舞台=ライフワークにしたい」という想い。「ライフワーク」-つまり「生涯の仕事」として人生を捧げたテーマだ。それはきっと、大村俊介とLIFE WORKS双方が掲げ、今後の自分たちに自ら課したテーマなのだ。

そして、言うまでもなくLIFE WORKSの企画第一弾がこの『蜘蛛の糸』である。2016年に初演を迎え、2017年5月に早くも再演を迎えたことからも、この舞台の評価の高さが伺える。

 

想定を超えたダンス作品の誕生

『蜘蛛の糸』がダンスの舞台と言いながら、他の舞台とひと味もふた味も異なるのは、この舞台ではダンサーがお芝居をするという点だろう。しかも、ちょっとした味付け程度の芝居ではない。全編を通し、その芝居が物語の道筋となり、ダンスはその芝居をより一層深みを与えるものとして存在する。さらに驚くべきことに、大村俊介は脚本、演出、振付もこなしながら、他の出演者のダンス・演技指導まですべてを行い、自らも舞台に上がっている。それがどれだけ凄いことかは想像に難くない。

舞台を支えるダンサーも魅力的だ。大村からオファーを受け選ばれたトップダンサーたちに加え、オーディションを勝ち抜いてこの舞台に上がったダンサーたち。すでにダンサー、インストラクターとして活躍しているにも関わらず、自らこのオーディションに参加したダンサーもいるそうだ。それだけ、ダンサー間でも大村が作る舞台への関心が高いこと、大村への信頼の高さを感じずにはいられない。黒須洋壬、原田薫、櫛田祥光という素晴らしい振付師たちがこの作品に参加しているのも頷ける。

 

ダンスと芝居。2つが重なり合い誘う圧倒的世界

『蜘蛛の糸』を観た者は、ダンサーたちによる「ダンス」と「芝居」、その双方が同じくらい印象的に脳裏に残るだろう。ダンスと芝居は自然に折り合い、重なり、紡がれていく。観る者は舞台へと知らず知らずのうちに引き込まれる。
ダンサーによる演技は目を見張るものがあった。それこそ冒頭から、ダンスの作品を観に来たことを一瞬で忘れさせ、その物語の世界へとあっという間に我々を魅了した。彼らの心の底から絞り出されるような言葉に、声に、想いに、自然と涙が溢れる。

「走馬灯の世界」という生者の世界ではない場所で展開する物語がダンスによって表現されるからこそ、その世界の不確かさ、不安定感、虚無感などは一層引き立つ。言葉や背景に頼らず、ダンサーの身体の躍動やエネルギーで走馬灯の世界を表現しているシーンがあちこちに散りばめられ、物語は進んでいく。
驚くべきことに、そこで踊られるダンスはあまりにも多様である。これほどまでに様々なジャンルの表現が違和感なく繋がり、むしろそれぞれのダンスで語られる想いや表現はストレートに胸に届き、一つひとつのシーンで観る者の心が揺さぶられる。ダンスのジャンルの垣根なく取り入れる柔軟さが作品をより一層魅力的にしているのはもちろん、人間が抱える様々な想い、走馬灯の世界で出演者に沸き起こる喜怒哀楽を表現するには、この多様なダンスが欠かせなかったようにも思う。
もちろんダンサーそれぞれのダンス技術の高さがそれを可能にしており、ダンスそのものも見応えがあるのは間違いない。一曲一曲を彩った振付家それぞれの実力はもちろん、それを一つの世界にまとめ上げた大村には賞賛の声を送りたい。

作品を支え、魅せ続けたダンサーたち

この作品において、ゲストダンサーたちは圧倒的な存在感を放ち続けた。死と生、男と女、友情、家族、人間の弱さと強さ。「死」が訪れた時に人が思うこと、考えること、後悔。そして、「死」に対面し初めて気づく、“愛によって命は輝いていること”、“生きるということ”をダンサーそれぞれの生き様を背負って演じ、踊っていたようにも見えた。テーマがあって、役があるこの作品。演じることはもちろん、踊ることに関してもそこに生まれる意味・重みは全然違うはずなのだ。ダンサーの内面から生き様が自然と滲み出し、役と一つとなり表現されていく。演じ語られる物語に涙し、踊られるダンスに一層心がかき乱された。
そんな心揺さぶられるシーンの中に、ふとコミカルな笑いが散りばめられ、自然に沸き起こる笑いにも演者達の凄さを感じた。ダンスをやっているからこそなのか、言葉と言葉、距離感が絶妙で、相手との触れ合い方が自然なのだ。笑いの要素は走馬灯の世界において登場人物達の人間らしさを感じさせる一方で、「死」や「悲しみ」を一層際立たせていた。

そんなゲストダンサーたちの中でも、誰もが目を奪われ、圧倒的な印象を残したのがダンサーJuNGLEではないだろうか。彼女の存在は圧巻だった。
今回の「蜘蛛の糸」ではスペシャルアドバイザーとしても参加しており、作品の中でも創作過程でも彼女の存在は欠くことができなかった。特に、今回の再演にあたっては自身の在り方を見直し、作品全体の流れを見た上で大村が言いづらいような厳しい言葉をキャストたちにかけたり、細かい部分について指摘をすることもあったと言う。それはもちろん愛からの言葉であり、「ダンサーとはこうあるべき」と言うプライドを常に掲げて踊る覚悟があるからこそできることなのだ。
自分のポジションを全うし、自らも演じ切った。その姿は現場でも、作品においてもムードメーカーであり、大村にとっても他のダンサーたちにとっても、JuNGLEはダンサーとして多くの刺激を与えてくれると同時に安心をもたらしてくれる…そんな存在だったに違いない。

また、オーディションで選ばれたというダンサーたちも本当に素晴らしかった。彼らの存在なしにこの舞台は成り立たない。生や死、愛などさまざまなテーマを群舞で表現し、時には登場人物達の過去を演じ、走馬灯の世界の住人となり…。一人何役も何シーンも演じこなしながらも、どのシーンもクオリティが高く、観る者をその世界に引き込む圧倒的なダンスを見せ続けた。この舞台を支え続けた彼ら1人ひとりの今後の活躍にも注目したい。

心に届く、今を生きる者へのメッセージ

ストーリーの詳細を語ることはできないが、舞台が終わった後、“今”を当たり前と思わずにすべてに感謝を忘れずに生きていきたいと思わせる、力強くも愛に溢れるメッセージを受け取った。きっと観客の誰もがそうだったに違いない。
この作品を観た人は、走馬灯の世界の彼らを見届け、今度は自分の確かな一歩一歩を踏みしめながら歩いていくはずだ。
後世に残るダンス作品として、ぜひ再演・開催地を変えてのツアーを望む。ダンスが好きな人だけではなく、今を必死に生きている全ての人に観て欲しい作品だ。

 

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