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踊っても上達しない・・・これってスランプ?

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練習しているのに上手くならない!

一生懸命これまで同様、もしかするとそれ以上にダンスの練習を重ねているのに、最近まったく上達していない、明らかに伸び悩んでいて楽しさも感じられなくなってきた、この記事にたどり着いた方は、そんなふうに思われているかもしれません。

始めたばかりの頃はあんなに楽しかったのに、着実にスキルを身につけステップアップしていけている感覚があったのに、自分はどうしちゃったんだろう、どうやってみてもどこか上手くいかない、もうダメだ、きっと向いていないんだ、このダンスなんてやめてしまいたい……考えるほどに思考がマイナスへ進み、そう思い詰めている方もあるでしょう。

ダンスに限らずスポーツ全般で、また表現活動・芸術活動、なんらか道を究めようとするその道行きの中にある人のほとんど全てが、こうしたスランプを感じる辛い時を経験するものです。ダンスならば、初めて少し経った頃、基本がある程度身についてきて技術力も一定レベルに達してきたタイミング、この後にこそ、はっきり分かる一段階上へ進めるという大きなステップアップ前などで、とくに最初の停滞期に陥りやすい傾向があります。

本当は、それも練習における大切な成長の過程であり、きちんとステップアップに向かっている証拠といえ、この時期が訪れたなら、諦めずに続けて乗り越えてこそ上達があるというものなのですが、現実には多くの人がその辛さに耐えきれずに諦め、脱落してしまうのです。

しかしそれでは本当にもったいない!せっかくダンスの楽しさに目覚めたのなら、スランプも克服し、より多くの人に続ける道を選んでほしい、自分の表現として高みを目指してほしい、心からそう思います。そこで今回はこのスランプについて取り上げ、ダンスライフの中でそうした時期とどう付き合っていけばよいか、考え方や克服法について解説していきます。

スランプとは?

まず、そもそもスランプ(slump)とは何なのでしょうか。辞書的な意味でいうと、心身の調子が一時的に不振になっている状態のことで、実力が発揮できず、成績などパフォーマンスも落ちている状態、通常の範囲内といえる浮き沈みを超えて長引く説明しがたい不調と定義されています。

努力を続けているのに成長が感じられなくなった時、昨日まで上手くいっていたことが急にそうでなくなった時、人は不安に襲われスランプを感じます。一度スランプを感じると、自分自身への苛立ちや先の見えない不安感から、実際以上に何もできないように思われてくるものです。その結果、どう対処すればよいかますます分からなくなり、精神的に不安定となって、さらに集中できなくなったり、本来の実力を出せなくなったりする悪循環に陥ってしまうのです。

スランプの原因を考える

では、なぜスランプに陥ってしまうのでしょうか。まさに成長の過程であって、原因が明確でない場合や複合的である場合も多いのですが、ケースによっては原因をある程度特定できることもあります。原因が分かれば克服・改善方法もみえてきますから、まずは冷静に考えてみましょう。

第1は技術的な問題です。ひとつ加えた変化、アレンジが上手くいかなかった、あるスキルで他のダンサーと比べ自分の方が下手だと強く感じてしまった、そうしたきっかけがなかったでしょうか。このような技術的側面でのちょっとしたつまずきが、ダンスのパフォーマンス全体、心身の落ち込みにつながってしまうことがあります。

第2は身体的な問題です。疲労が溜まっているのに、上達を焦って練習量をこなさなければという意識だけにとらわれている、ケガ・故障からの回復が十分でない、こうした場合、できていたことができなくなるのは当然で、踊れる身体づくり、心身のメンテナンスにこそ集中しなければならないのですが、自分の身体のことは気がつきにくいもの。そもそも無理をさせていることが、スランプを感じさせているケースも少なくありません。疲労という面では、少し上達して、振り付けやアレンジのアイデア・実践におけるアウトプットのしすぎから、行き詰まりを感じてスランプになるダンサーもみられます。

第3には心理的問題があります。シューズや練習着など、身につけているものが新しくなってそのことが気になっているといった比較的直接関連のあるものから、ダンス以外の場で起きた個人的な問題、社会生活上のショック、経済面の問題など、あらゆるかたちの不安や悩みの要素がスランプを引き起こす原因になり得ます。

メンタルでこうした不安定さを抱えていると、本人が気づかず違った動きをとってしまっていたり、普段は気にしないレベルの失敗をきわめて重大なものに捉えてしまっていたり、客観的には順調にできているのに自分ではどうしてもそう思えないということもあります。そこから負のスパイラルをたどってスランプから抜け出せなくなることがあるのです。

大きなダンスコンテストや発表会イベントなど、日々根を詰めて練習を重ね、ついに迎えた本番、やりきって大きな達成感や感動を覚えた後の、いわゆる“燃え尽き症候群”のようなかたちでスランプになるケースもあります。

また一からの日常練習に戻し、同じように取り組んでいるつもりでも、目の前の目標がなくなったことで生じるぼんやりとした不安や喪失感のようななんともいえない気持ちや、気が張っているために意識されていなかった疲労など、そのイベントまでにかけた思いやパワーが強ければ強いほど、心身状態に与える影響も大きくなり、普通を維持することが難しくなるものです。容易には切り替えられないという前提で、心身のケアに努めることが必要です。

原因はどれかひとつかもしれませんが、多くは特定できない小さなことの積み重なり、複合的なものでしょう。少しでも思い当たる要素があれば、そのひとつひとつに冷静に向き合っていくことで、スランプから脱することができる可能性がぐっと高まります。

スランプからの脱却方法は?

原因がある程度明らかにできた場合は、まずその状況の改善に努めましょう。しかし環境や心理面など、容易には変えられない場合もありますね。またこうした原因分析のステップを踏んでも、単純にはその要因が見出せないケースももちろんあります。そうした場合はどう克服すればよいのでしょうか。

まずひとつには、休息と気分転換を図ることが挙げられます。スランプの中でさらにダンス練習の世界のみに閉じ込められていると、ますます考えが否定的になり、心身ともに追い込まれてしまいかねません。心にも身体にも、練習や舞台の場から離れた回復の時間が必要です。

筋肉トレーニングで、負荷をかけた線維の破壊と、休ませて肥らせる回復がセットになり、その後に成長が来るというように、詰め込む練習だけでなく、休息もとても重要なものです。踊る楽しさも感じにくくなっているなら、練習量を一時減らしてもかまいませんから、心身のケアに努めてください。

そして完全にやめてしまうのではなく、とにかくダンスを続けることです。休息の時間は、表現性を高め、自分を解放できるように、楽しめる文化・芸術活動で内面磨きを進めたり、取り組んでいるダンスジャンルの文化背景を学んだりするのも良いですね。すぐに変化として感じられなくとも、そこで得たものはあなただけの血肉になり、大きな発展の糧になります。

もうひとつ、ダンスにおける取り組みでは、あらためて基礎に立ち返り、簡単なステップや基本姿勢、重心移動などの練習を重点的に行うようにしてみてください。その様子を鏡で確認したり、動画に撮って客観的にチェックしたりする作業を続けましょう。ステップアップのために基礎力の強化が必要である時期に来ている可能性もありますし、初心に立ち返ってひとつひとつ確認していくことで、自信を取り戻していける効果もあります。

基礎を大切にすることができない人は、必ず伸び悩みます。反対に、上級者クラスになってもなお、常に基礎のブラッシュアップができる人、その大切さを見失わない人は、優れたダンサーの中でも輝きを失いません。こんな基礎ばかりやっているなんて恥ずかしいといった、妙なプライドばかりがあると、上達からは離れていってしまいます。

基礎固めは理想の身体づくり、スキルアップ、アレンジアイデアの醸成、さらにはメンタル面の改善まで、ダンスパフォーマンスを支えるあらゆる点にプラスの効果を発揮しますから、スランプの時こそあらためて大切に行うことを心がけましょう。

まとめ

いかがでしたか。真剣に取り組んでいれば、スランプは誰しも経験するものです。しかし実際にその渦中にいると、状況を客観的に把握することが困難になり、辛さと伸び悩みが永遠に続くように感じられがちです。

経験する中で自分にベストな対処方法がみえてくることもしばしばですから、まずは焦らず、練習量を調整しながら踊る楽しさを忘れないようにし、休息もきちんととって、基礎を中心とした取り組みを、今できることを続けてみてください。

やるべきことに取り組めている、これは必要なステップなのだと信ずることも大切です。ぜひ紹介した対処方法を参考に、スランプ中の自分とも上手く付き合っていってくださいね。

(画像はPixabayより)


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date : 2019.12.10
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