その後、マドンナが僕がヴォーグ以外も踊れるかを見たくて、公式のオーディションに来るようにと言われて受けに行ったんだ。そうしたら、7,000人くらいの人が受けていて、実は僕はその日遅刻してしまってね。こっそり入ったら一番前の列に来るように言われちゃって(笑)。
オーディションは、ターンなどマドンナの振りでも一番難しいものをすぐに覚えて7人ずつで踊って、いい人だけ残ってまた次の人と踊るっていう勝ち抜き方式でのオーディションでね! 僕は最初の方だったから計1,000回ほど踊った。でも完璧以上の出来栄えで踊ったよ! そして一緒にオーディションに参加した同じ《House of Xtrvaganza》 の Luis Xtravaganza(ルイス エクストラバガンザ)と2人で勝ち続け、最後まで踊り抜いたんだ。最終的に残った7人は、見た目のバランスも重視しながら選んだみたい。だからマドンナには「あなたは細いから少し鍛えなさい」と言われてジムに入れられ、そこで少しだけマッチョになったんだ。(笑)
J ヴォーグは15歳から始めたよ。ゲイは差別されたりいじめられたり仕事も失っていたような時代だった。でもその中にはクリエイティブな人も多いから、一晩の夢を見るためにボールルーム(クラブ)で踊っていたんだ。
ある晩年上の人に連れて行かれて、行われていたバトルに初参戦し優勝してしまったんだ。そこでMCをしていた当時の《House of Xtravaganza》 のmotherだったAngie Xtravaganzaに出会い、以後 《House of Xtravaganza》のメンバーになったんだ。
S ハウスとはどんなものなのですか?
J VOGUEにはいろんなハウス、グループ、チームみたいなものがあるんだけど、《House of Xtrvaganza》は、人生で助け合うような家族のようなものだよ。ダンスチームとかではなく、人生をサポートしてあげるためにできたものだから、人種の壁もなく支え合うことができた。生まれつき女性の人もいればニューハーフもゲイもいたよ。
雷に打たれる感覚。ハウスに招かれる人とは
S 今回RANDYさんがこの《House of Xtrvaganza》に選ばれたとお聞きしたのですが、そのきっかけは何だったのでしょうか?
J 《House of Xtrvaganz》 は世界で100人もいないんだ。それだけ入るのも限定されているし、ダンスが単純に上手だから選ばれるわけでもない。でもRANDYは、会った瞬間に「いい!」と雷が打たれたように直感的に思ったんだ。まさにインスピレーション! RANDYのことは全然知らなかったし、でもChycca(チカ)から、名前と髪の毛が長いということだけは聞いていたんだけど(笑)。
S 素敵な回答、ありがとうございます! ヴォーグというジャンルも、ハウスという概念も想像していた以上に深くてびっくりしました。
J 僕は大金持ちでも、世界的に有名なダンサーではないけど、RANDYやChyccaをはじめ多くの家族に支えられて、僕の”心”は世界で一番豊かだと思ってる。僕が人生で持っているものを《House of Xtrvaganz》のファミリーに全部あげたいくらい。それくらいファミリーとは心と心で繋がってると思っているから、RANDYとChyccaは体の一部のような、家族以上の存在になっているよ。