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今年大注目の2つの発表会!演出Seishiro、ディレクター松田尚子に今の心境を聞いた!

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ダンサー、松田尚子、Seishiroと言ったらダンスを踊っている人は1度は耳にしたことがあるのではないだろうか? お互いジャンルのフィールドは違えど、実力、センス共に認められる注目ダンサーの一人だ。

この2人といえば、”異なる要素をミックスする”をコンセプトで行なわれているダンスEVENT「Flux」で一緒に踊ったことで話題になったのも記憶に新しい!

そんな今大注目のお二人が今年それぞれ違うスタジオで、一番大きなイベント「発表会」のディレクター、総合演出に!!ということで今回はスタジオ側の協力の元、今の心境や過去のお二人の出会いなどインタビューした!!

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”やるからには” にこだわって。総合演出、ディレクターへの想い。

ーーー演出の打診があった時、率直にどう思いましたか?その後、引き受けて頂いた際のお気持ちを聞かせてください。

Seishiro:始めは悩みましたけど、率直に凄い嬉しかったです。でも何となく薄々感じてはいました。「今年来るかな??流れ的にそうかな??みたいな…」。そして、お話を頂いた時に「やっぱ来た!」と思ったんです。私、「やるからには精神」が凄く強いんです。例えば、やる!!って決めたその時から、本番を迎えるまでの精神力っていうのかな。本番が終わるまで、永遠に頭の片隅にあるというか、その重荷を背負う怖さがあるんですよね。今までは、ずっと自分の為に創ってきたから、自分の良さを求められつつ、育ってきた環境とか、生き方が様々な人たちの「長」となって舞台をまとめるっていう部分が凄く心配ではありました。一つ言いたいのは、「私って天才じゃないよ!」っていうこと。頂いたお仕事に対して、やるからにはやってやる!!とは常に思ってるけど、私はアイデアがポンポン浮かんでくるような人ではない。自分は、自分が思い描いている天才とはかけ離れてるから。周りから求められていくことに、どれだけ自分が応えきれるんだろう、と考えると怖い部分はありますね。ま、でも、やりますよ!!

ーーーお話をしたとき、一瞬悩んだと思います。それはなぜですか??

Seishiro:いろいろな発表会に関わって、演出家が思っていることとは裏腹に、様々な意見が生まれるんだ!!っていうのを目の当たりにした事もあるので、そういう裏の声を聞いた時に、本当に自分にできるのかなぁ、という不安がありました。舞台全体の2時間に自分の人生を捧げるか、もしくはたった5分間の自分の作品にだけ命を捧げるか、、、でも、正直どちらも命の掛け方って一緒なんですよね。そう考えると、だったら自分はナンバーだけでもいいのかも!?と思ったりもしました。ただ、やるからには「このスタジオをもっと変えたい!!」って思ったんです。「女性限定のダンススタジオ」という前置きを取っ払いたい!!と思ってます。Reiは、初心者さんが多いという部分でも甘く見られがちな部分もあるように感じているので、そんなことはないぞ!と、そこの向上を今年のReiは心がけたいなって思ってます。ただ出演者が楽しいだけじゃなくて、みんなに命をかけてこの舞台に立って欲しいって思ってます。

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ーーー尚さんはどうでしたか?

尚子:私も凄く嬉しかったです。結構何回か声をかけてもらってたんですけど、私がこんな大きな規模の演出をできる自信もなかったし、「発表会の演出」というものにも実はあまり興味がなかったんです。私の発表会の好きなところは、それぞれの先生が自分の好きな曲で好きな振り付けで作品を創り、その先生の作る物を大好きな生徒さん達が全身全霊で踊っている姿が凄く好きなところだから。それらの作品を無理に後から繋げても、、、それは後付けにしかならないなぁって思ってしまうんですよね。もちろん、好みもあるとは思うんですけど、「発表会の演出」ってそんなに必要ないなぁて思うこともあったりしました。でも、こんな私に何度も声をかけてくれるWORKSの気持ちが本当に嬉しくて、、、今回引き受けたのは、そこが一番大きいかもしれないですね。じゃあ、もし自分がやるならどういう風にしたいかなぁって考えた時に、演出ではなく「ディレクション」(構成)だなって思って、今回は敢えて演出とは言わずにディレクターという名前にしてもらったんです。WORKSには、ダンサーとして素晴らしいジャンルの違う先生方が沢山いて、そういう人たちが、一同に集えるのも発表会の良いところだし、こんな組み合わせで踊ったらどうかな??とか考えるのは凄くワクワクするから、そういうことをやらせてもらえるなら面白いなぁと思って。そういうことをやることで、結果、そこから刺激を受ける生徒さんの為にもなるかなって思ったので引き受けました。でも、やっぱり最初は悩みました、、、自分の名前が出る以上、やるからにはちゃんと責任取りたいし。

 

Seishiro:そう、責任…。生徒さんはお金を払って舞台に出るんです。だけど、それ以上の対価を得て欲しいって思うんです!! 尚さんのディレクション的な考えは面白いと思う。「ただ、自分が見たい!!」っていうのもありますよね。

尚子:そうそう!! そうなの。

Seishiro:いつか、私にもこんな人と踊ったらどう??っていうのがあったら言ってください(笑)

尚子:せいちゃん!! そんなの!!いっぱいあるよー(笑)

とにかくレッスンう受けるのが楽しみだった!!
そして舞台に立つ楽しさと責任を知る

ーーーでは次に、お二人が初めて発表会に出た時のことを教えてください。また、発表会に参加してご自分にとってどんな変化がありましたか?

Seishiro:私、実は発表会というものには出たことがないんです。イベントのナンバーとかは出たことあるんですが、初めて出たのがMIKEYさんの作品で、その時に「舞台って、こんなに厳しいものなんだ、、、、」ということを初めて教えて頂きました。もうね、その時は誠心誠意、寝る間も惜しんで、、、って感じでしたね。その時からずっと、肝に命じてたきたこと、自分の生徒にもいつも言ってきたことは「いくら自分がお金を払って出たとしても、舞台に立つ以上、そんな裏の事情なんて関係ない」っていうこと。舞台に立つ者としての意識の高さは常に教えられましたね。「どんな場所でも、ステージに立ったらお遊戯ではなくプロという認識を持ってほしい」っていうことは常に生徒には言ってます。「あなたのダンスには金が発生してますよ」ってね(笑)

自分がやりたいことに対して、見返りを求める矛先っていうのはお金ではないっていう所も初めて出たナンバーで学びましたね。実際に作品創りって、自分の裸をさらけ出すのと一緒じゃないですか。

 尚子:うんうん、本当そうだよね。私が初めて発表会に出た時のことは今でも凄く覚えてるんだけど、もう楽しくてしょうがなかった。「楽しい!!」しかなかったかも。14歳くらいの時かな??学校にいても、家にいても、ずっとそのことしか考えてなかったですね。

 Seishiro:踊れる喜びを知った時の感覚って凄いですよね。

 尚子:うんうん。学校終わったらダッシュしてスタジオに行ったりしてたもん。

 Seishiro:分かる~!! それで休講だった時の悲しさったら無いですよね(笑)

 尚子:そうそう。大雪で、絶対スタジオやってないはずなのに、「もしかしたらやってるかもしれない!!」っていう思いで凄い時間かけて行ったりしてました!! その時は本当に夢中だったなぁ。

 Seishiro:私、20歳で上京してWORKSに入ったんですけど、東京の先生が受けられる~!!って、その時はとにかく楽しくて興奮してたんですけど、休講になった時の悲しみったら、、、来週も楽しみだなぁ!!って思ってたら、5日後に「代講」、じゃあ、次の週楽しみにしとこ~!って思ったら2ヶ月代講とかね、、、(笑)

 尚子:その時の「好き」って気持ちって一番大きいかもね。

 Seishiro:先生への愛に勝るものはない!!でも、先生になって知ったことは、代講出す時って、先生も本当に心苦しいってこと。

ーーーそれだけレッスンを大事に考えてくださることはスタジオとしては凄く嬉しいです!!いつも本当にありがとうございます。

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イベントを通じて繋がり、尊敬し合う仲へ

ーーーでは次に、お二人の出会いと、お互いの第一印象、リスペクトしているところを教えてください! 

Seishiro:元々、WORKSのレッスンに通いだした時に、友人に尚さんのクラスを勧められてレッスンを受けに行ったのが私の中でのファーストタイムだったんです。今でも鮮明に覚えてるんんですけど、出来なさすぎましたね。。尚さんのクラスって、フロアがとにかく凄すぎるじゃないですか。で、ファーストセカンドに分けて音でやってる時に、私フロアで凄くもがいていてたんですよ。もがいてる最中、パッて見たらみんな立ってたんです(一同、大爆笑)。
そのあと、色々な場所でお会いする度に声をかけさせて頂いてたのですが、ある日、fluxというイベントの話がきて、AFROISMのSHOTAさんに「誰と踊りたい?」って聞かれて、「松田尚子さん」ってダメ元で言ったんです。言った瞬間、手で口抑えましたけどね…(笑)。そしたら、まさかのOKを頂きまして。

ーーー 一緒にやってみてどうでしたか??

 Seishiro:本当に勉強になることが多かったですね。自分が王道のJAZZロードを通ってきた訳ではないので、その時に尚さんに言われて気づいたことが実はあったんです。「せいちゃんはきっと、見たものを絵で見てきた人なんだろうね。」

 尚子:へ~覚えてない(笑)。そんなこと言った??どういう意味で言ったんだろう…。

 Seishiro:その時も色んなジャンルは受けていましたけど、多分それは、絵で見たものを自分なりに変えているっていう意味で言ってくださったんだと思うんです。絵で見ることで、自分の変化が面白い軌道になったり、それがオリジナルになったりして…。その時の尚さんの一言で、自分の可能性が凄く広がったんです。そこから自分の考え方も少し変わったような気がします。だから、自分にとっては凄く印象的な言葉だったんですよね。

 尚子:覚えてないや~(笑)。そんなこと言ったんだね!!

 Seishiro:私、また尚さんと踊りたいです!!

 尚子:私も~!やろうやろう!!

ーーーぜひ!!!ワークショップも企画しましょう。

Seishiro:あの時は全然踊れなくて悔しかったから…。

 尚子:お互いにね(笑)。私転んだしね!!

Seishiro:そうそう!!「私、転んじゃった~♡」って言ってましたね(笑)。

尚子:私の中でのせいちゃんの印象は、一番最初にレッスンに来てくれた時のことも凄く覚えてて、その時は、こんなパーソナリティーを持っている人と思ってなくて、今、凄くダンスを頑張っている若い人っていう印象だった。でも、そのあと、違うところから凄くせいちゃんの名前を聞くようになって、気づいたら自分の色を確立している人だった。さっきから自分でも言ってるけど、本当に作品をつくるのに、身を削って作っている人なんだよね。一つ一つのものに投球するエネルギーが人並み外れている所を凄く尊敬しています。

Seishiro:嬉しい~~~!! ありがとうございます(><)

尚子:色々影響は受けるけど、ブレない色がある。それって、凄く勇気がいる事なんですよね。捨てるものは捨ててるんだろうし。私は凄くブレちゃうタイプだから、自分で自分の色を着実に築きあげている部分が凄いなって思います。

 Seishiro:私が尚さんのリスペクトしているところを言いますね!! 沢山あるんですけど、まず一つ目は、培われた技術力の高さ。二つ目は、呼吸音が音楽に聞こえるところ。三つ目は、いつまでも現役なんだろうなっていうところ。

尚子:ありがと~m(__)m 嬉しいなぁ。

 Seishiro:もちろん、確立されたものの中にある、いつまでも忘れない向上心は私も見習いたいなって思っています。

尚子:じゃないと固まっちゃうからね。インプットして刺激を受けて、変化進化していたいなと。

Seishiro:あと、こうやって見ず知らずの西から来たおカマと踊ってくれる寛大さ(一同爆笑)。

尚子:私だって、誰とでも踊る訳じゃないよ~(笑)。せいちゃんは「この人と踊りたい!!」って思った人だったからだよ!!

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レッスンは自分と向き合う場所。とにかく「見る」

ーーーでは次に、お二人がレッスンで常に意識している事は何ですか?

Seishiro:私の場合は、自分自身の体験をもとに、自分が苦しんで来たことを生徒に言うようにしています。それは本当に無駄な事なんだよ!って。
例えば、特に今の子に意識してほしい事は、レッスンというのは、「自分と向き合う場所」であって欲しい。先生が持っているものを吸収したり、自分に足りないものとか、自分の変換能力とか、色んなものを学びに行くところ。自分の中で、その時のレッスンをプランニングをすることは凄くいいことだと思うんです。
でも、「ピックアップされたい」とか、「できなかったらどうしよう」の精神ってどの世代でもあると思うんですけど、興味があるものなら尚更、「できなくて当たり前」という開き直り精神で、寛大な気持ちでレッスンを受けて欲しいなって思うんです。私自身も振り覚えが凄く悪い方なんです。だから、その気持ちが凄くわかるし、自分の今の立場だとできなかったらどうしようって思う時ももちろんあるんですけど、そんな気持ちなんて一生捨てないと何も学べないし、自分のダンス人生の全てをぶつける場所をレッスンにしないで欲しい。どこに矛先を向けてダンスを頑張ってるのかな?って思ってしまうんです。お披露目の場所がクラスなの??ってことになっちゃうじゃないですか。そこをもう少し、違う場所に矛先を向けたらいいんじゃないかなって思う。

ーーーそういう事って、レッスンの時に生徒さんへ伝えているのですか?

Seishiro:たまに言うようにしています。ラスト5分とかに分ける時に全部覚えられてなくても今覚えてるところの中で自分が出せる場所を出して!! 「そこだけに意識をして!」「あなたの一瞬の良い絵を見たい!」って言います。

尚子:私も自分の経験からしか考えられないんですけど、自分が習ってきた先生は、あまり言葉で説明しない先生が多かったんです。だから、自分で踊って魅せてくださった先生が多かったので、先生やこの人素敵と思う人の踊りを、ず~っと見てました。見て真似をすることが最初でした。上達する子って言われる前に好きでやってみるので、勝手に上達するんですよね。

Seishiro:分かる! それも才能の一つですよね。

尚子:うん、才能もあるよね。

Seishiro:でも、レッスンでなかなか輝けない子もいるんですよね。そういう子がステージで凄い輝いてるのを見た時、「えっ!?びっくり!!」っていう時も結構あります。

尚子:凄く時間がかかる子もいるよね。あと、身体的な事ですが、柔軟性も筋力もどちらも持っている程、自分が踊る時にどう踊りたいかの選択肢が増えるので、躍動的にも瞬発的にも動ける幅広く対応できる体を持っていて欲しいって言うのはよく言ってますね!! これはジャンル問わず言えることだと思います。

今年はどっちの発表会も素晴らしかった!!って言われたい!

ーーーでは次に、今回の演出で一番大事にしていきたい事は何ですか?

Seishiro:Reiの発表会に関しては、「品がいい」「上品かつ、胸騒ぎがする」私が一番得意とする部分だと思っているので、美しく整えられたらいいなと思ってます。

ーーー特にReiは女の子しかいないので、女性特有の美しさを出せたらいいですよね。

尚子:WORKSは、どのくらい演出して、どのくらい演出しないかって言うバランスを大事にしたいって思ってます。最初にも言いましたが、私がやるとしたら、そんなに演出はしないと思うんです。見てる人が何も迷わず、一つ一つの作品を楽しんで観れる環境作りをしたい。そうするには、どのくらいの演出をしたら良いのか、しないほうがいいのか、、、そのバランスを大事に創っていきたいなと思ってます。

Seishiro:魅せ方の違いはあるけど、通づるものがありそうですよね。

尚子:うんうん!私もそんな気がするよ~。

Seishiro:今年はどっちの発表会も素晴らしかった!!って言われたいですよね。

尚子:うん、本当!!言われたい~!!

ーーー絶対にどっちも観てもらいたいですよね!!では、悩んでいる生徒さんに、お二人からエールをお願い致します!

Seishiro:悩みはきっとそれぞれあると思うのですがちょっとでも出たいって思うのであれば、行動した方がいい!一つの向上心が死ぬことになるから。私の経験上、興味があるから悩んでいるんだと思うから、その気持ちを無駄にしないで欲しいって思います。振付師の先生も、いつ作品を出すか分からないから、この時を大切にして欲しい。

尚子:出たかったら出ればいい(笑)。少しでも出たいって思うなら、出ればいいと思う!!

Seishiro:本当に、興味があって、でも色んな理由で出れない時とかあるじゃないですか。そういう時って、絶対に観に行きたくないって気持ちありませんか?? 見に行ったら、出なかったことを後悔するから。

ーーーそうですよね。ぜひ悩んだら出て欲しい!!本当にそう思います。ありがとうございます!!

さらに新しい世界へ

ーーーでは最後に、お二人は精力的にご自身の自主公演や出演、振付、映像制作を発信していますが、今後の展望をぜひお聞かせください。

Seishiro:創ることは一生変わらないと思う。だからこそ技術向上だったり、新たな自分の可能性をさらに見つけていきたい。いつまでもダンサーとしても認められる振付師でいたいなと思います。

尚子:私も、自分の好みのものを形にしていくというのを続けていきたいと思ってます。自分の作品を作ったことで繋がったり、広がったりしたら…。最高の幸せだと思います。

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尚さん、Seishiroさん、沢山の貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!!WORKS、Reiの発表会、そして、お二人の今後の活躍を楽しみにしております。

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2017.7.15sat,16sun
【Art Dance Tribe vol.20 (DANCE WORKS発表会)】
Director:松田尚子
詳細は☞ http://danceworks.jp

2017.10.7sun, 8mon
【art for all 14 (Rei 発表会)】
総合演出:Seishiro
詳細は☞ http://www.rei-dance.com


Photo:ARISAK

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date : 2017.03.01
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